タイトル: Painkiller: Black Edition
開発元: People Can Fly
パブリッシャー: THQ Nordic
リリース日: 2004年4月12日
体にこたえる名作
中身はど真ん中直球ストレートなアクションFPSで特に言うことは無く、高い火力で敵の群れをぶっ飛ばしながらエリアを進めていくタイプのゲーム。「こういうゲームが好きなんでしょ」と言わんばかりのテンプレのような見た目・システム・音楽に包まれたクラシックなストロングスタイルには感動さえ覚える。
武器は5種類で弾の不要なpain/killerですら、この向かってくる敵を一掃できるほどの強さを持っているので、弾切れ?温存?なにそれ?というバランスでボコボコにできる。特にノーマル難易度であるinsomniaだと何も考えなくてもまず死にようがないのでは?という体力の安定っぷりもあるので、敵を倒すというゲームにおいてはこれ以上なく優秀。シリアスサムのように弾薬温存ペースを考えるとか、アイテムを温存して消耗するエリア突破後に戻って回復するというような配慮は基本的に不要。
ステージ中にも中ボス格が出てきてなかなかに熱いガチンコ勝負を仕掛けてきたりもするので、緩急がわりとしっかりしている。本当にストレートに進んで叩き潰していく要素に手抜きをしていない。このバランス感覚がこのゲームの最大の魅力だろう。
ロケーションも豊富で、序盤にホラー要素の強い墓場などが集中していた影響もあって、個人的にはかなりのホラーゲームっぽい印象だった。全体的には明るいエリアもたくさんあったり世界中色々飛び回ってそんな印象は薄れていった。そのたくさんある世界の中でシークレット探しをして、大ライフやホーリーアイテム(大量のコイン扱い)をゲットするのもチャレンジングだ。
このコインはクリア時に目標を達成したらアンロックされるタロットカードを使用するのに使う。これでさらに能力をアップすることができ、戦いを有利にすることができる。というわけで、戦闘だけでなくシークレットや探索が大きく影響するゲームである。探すためにも戦闘のためにもグルグルマップを回り、戦闘にも明け暮れて上下左右をくまなくチェックするという目と体力にやさしくはないゲームだ。
よくできた作品だが人は選ぶ
まだシリーズ追体験の真っ最中かつクリアもしてないので、ここではとりあえず名作分類である世間一般の話で、DLCまで含め半分過ぎた今までのステージでの評価を語っていくことにする。
確かによくできていて射撃感もいいし、敵を吹っ飛ばしていく爽快感もあるし、こちらが強いのであまりピンチにならずどんどん進んでいける。ジャンプ連打でスピードもアップしてスムーズな探索もできるし、シークレットを見つけてもシリアスサムのように敵がわんさか湧いてくるみたいなケースが少なく、見つけた分だけ得をしている(ような気がする)。マップや音楽も使いまわしが少なく、敵自体もレベルごとに見た目が異なり、力を入れて作ってた頃のやる気を感じられる出来栄え。
では何が気に入らないのか。気に入らないという訳ではないが、無条件で名作という意見は出せないとだけは言いたい。
各種要素は出来が良くて素晴らしいんだけど噛み合ってない、というかあまりにもバラバラすぎない?という不満が出てくる。敵を吹っ飛ばす爽快感はあるが、吹っ飛ばすと敵を倒した時のソウル回収が大変になる。回復も兼ねているため、これを前提に回復アイテムが少なめに設定されているシステム上無視できない。1体1しか回復できないが数百体敵が出るので、相当なものになる。これが倒した瞬間出てくれればいいのだが、死体がこれに変化するまで4・5秒はかかるので待っているとテンポが悪くなり、死体に当たり判定もあるので、狭い通路で倒した時はつっかえるような動きになってしまうことも。
ゲームの根幹部分がスピーディかつパワフルなのに、取り巻く要素がスピード感を下げているので、全体として間延びしてしまう印象を受ける。探索要素も大きくフィーチャーされているので、マップ内をくまなく見て回り、シークレット探しをすることも推奨、どころか半ば必須扱いになっている。見て回ることで戦闘以外の時間がかなり追加されることになってしまうのは言うまでもない。
完全に無視できれば無いものとして考えられたのだが、ステージクリア時にカードがアンロックできたのできなかっただのを見せつけてくるのだ。「失敗」じゃねえよどうでもいいって思ったからだよと言いたくなる条件の場合もあり、報酬が何かもわからないのに縛りプレイをしろというのも無理がある。
救いとしては、ノーマル難易度では別になくても大丈夫というのが大きいが、取り逃してる要素あるよほらほら!と見せられている部分がどうも気になってしまう。難易度バランス的にうまくいってる分もうちょっとなんとかならんかったのかと思える要素のひとつ。
全体としてスピード感のある良作に足止め要素がくっ付いてるようなプレイ感覚になる。もちろん探索やシークレット探しなどは好きだし、ライフ回復兼切り札発動のソウル集めも自動でないことから戦略に組み込めるので、全くの死に要素ではない。それだけに節目節目でちょっと待たされたり、何周かをしてくれというシステムが勿体ないような気がする。
例えば各ステージのチェックポイントでこれまでの撃破数によって回復したり、ステージクリア時でなくタロット画面でこれこれが累計条件を達したのでアンロックという風にできたら、スピード感を阻害せず、プレイスタイルを強要しないでいろいろと要素を追加できたはずだと思う。こういう不満点は最新作に至るまで変わってないらしいので、今のうちに慣れておかねばならない。
良い点はいろんなレビューで語り尽くされているし、遊べばわかるバランスの良さ、爽快感はもう間違いがないレベルで完成されている。そのせいで些細な不満が気になっちゃったのがちょっともったいない。
あと個人的にクソゲー認定しかかったのがこの2面swampのボス。この手のゲームのボス戦ってやつはどうして謎解きや正攻法で攻めさせてくれないパターンになるんだよナメてんのか。対策自体は本当に見ればわかる程度の謎でしかないのだが、精度の悪いショットガンでちょっと離れた泡を割って、タイミングよく火を当てるとダメージ。ショットガンなので泡を捉えても当たって割れるとは限らず、場合によっては敵の巨人に妨害されて当たらないことも多々ある。
この距離で割れないことが多々あるので、本当に時間だけはどんどん食われていくし、この時点まででダメージを受けていたら後半攻撃が増えるあたりで厳しくなるのでやり直したほうがいい。正攻法で戦うボスが前後のエリアのボスだったので、こいつの浮きっぷりが今のところ半端じゃなくイライラさせられた要因。この次のエリアは本当に面白かったので、ここで切り上げなくて本当に良かったと思う。面白いステージなら周回プレイも制限プレイも苦じゃないので、そういうエリアが今後多いといいなあと期待せずにはいられない。とにかく続きをプレイしよう。疲れない程度に。
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