[Review]Neon Chrome

タイトル: Neon Chrome
開発元: 10tons Ltd
パブリッシャー: 10tons Ltd
リリース日: 2016年4月29日

持ち越し要素ありTSS

多分ツインスティックシューターのことをTSSとは言わないだろうけど見出しだから仕方ない。それはさておき、ゲームの流れを追って説明すると

  • 所持金からアップグレードできる要素へ投資
  • (次のプレイで使いたい Upgrade/Weapon を購入して開始)
  • 1度クリア後は難易度の設定を弄れる
  • ランダムで3つ選ばれる Perk を選択
  • 各フロアをクリアしていき、資金を溜めて進めていく
  • 道中でアップグレードや武器を獲得し、アンロックすることで選択が広がっていく
  • 最終エリアに待ち構える Overseer を倒すと1周クリア
画面下のクレジットを消費して強化して周回するゲーム

割と大きめのネタバレを含んでしまっているが、とにかく最上階にたどり着いてボスを倒せばクリアとなる。能力値を高めるための資金稼ぎや、新規のアップグレードをアンロックしたりすることで、次の周回に役立てることもできるが、意図的に狙わなくても進めていくだけで大体の物はアンロックできてしまう。

もっさり簡単(一部)単調繰り返しゲーム

ツインスティックシューターとしては、緊急回避やダッシュなどがなく、バリアなども基本的に張れないので、基本的な動作のみで戦う非常に地味なゲームになってしまっている。武器やサブウェポンも地味なので、戦闘はどうしてもベタ足インファイトになりがち。とはいうものの、敵の攻撃をまともに受ける体力は無いし、回復も限られているので、遠距離からぷちぷちと倒していくことが基本スタイルになってしまう。というか本当に冗談と思うほど回復アイテムが出てこないので、被弾した分をなんらかの形で補填することが大抵のプレイでは無理筋である。

ゲームバランスを破壊して帰るTechie

そこで登場するのが Techie 君。時間で回復するシールドを標準装備しているので、シールドが無くなった場合、いったん引いて立て直すことができる唯一のキャラ。そもそもこれ以外で長時間戦闘するという行為がまず無理。逆にこれを使うと1周目最初のキャラでもクリアできるほどのポテンシャルがある。その点からもわかるように基本的にこのゲームはヌルゲー寄りである。あっこの敵強いと思う雑魚敵があまりいない。それとアップグレードの中に難易度が激下がりしかねないものも存在している。それが普通に手に入るので、手に入れて以降はそれを買ってからスタートしてもいい。こうしてどんどん簡単になっていく。ある意味 Techie で序盤をプレイしないことが一種の縛りプレイになりかねないほど。

フロア数もランダムで決まる(今回は1層の階が少ない)

ランダム生成されるフロアの話に移ろう。クリアまでのフロア数も多少ランダムで、たまに枝分かれしているフロアの先に書類マークみたいなものがある。そこがランダムエリアで、紫色のエレベータに乗ることで到達できるエリアになっている。ここに入ると概ねなんらかのパワーアップ要素が得られるので、基本的には入れるなら入っていくスタイルになると思う。入ってしまえばそのフロア自体がクリアなのでおいしいし、鍵も持ち越しできるなどメリットは大きい。激戦になるようなサブエリアもほぼないので、通常のフロアが難しいと思える配置だった場合などの緊急回避にも使える。

最終的なボスはええこんなやつなの…なのだが、シナリオ的にはビルシステム全体の監視者に対して、反逆するためにハッキングを行い、義体を操作してフロアを登っていき、直接倒すまでの道のりを描いている。実際のプレイがどうであれ、その世界の支配者を倒し、その世界をハッキングして乗っ取るというのはなかなかにサイバーパンクしている。雰囲気がいいだけに登っていくときののっぺり感と作業感が残念になる。

回復系・リロード速度系のアップグレードは重要になる

ただし、のっぺりしているということは、特別高難易度にはならないという点でもあり、いわゆるローグライク系のゲームでありがちな「捨てゲー」が発生しないということでもある。回復が少ないのでジリ貧にはなるだろうが、回復アイテムが手に入らないならエネルギーをライフに変換する、またはフロアを進むごとにライフが回復するといったアップグレードを入手できればかなり回復できるようになる。また逃げ撃ち前提になるが、精度のいい武器を持っていれば遠距離から攻撃を仕掛けて被弾を減らしていけば何とかなる。接近して攻撃を仕掛けないといけない状況がまず有利に働かないので、ショットガン系は捨ててバーストライフルやライフル系を主に使うとよほどでなければすぐに死ぬということは無いだろう。次のエリアに進めばまたアップグレードや武器レベルアップなども得られる可能性があるので、絶望的になりにくく打開しやすいのは大きなメリットだろう。

2週目以降はヤケクソバランス

倍率アップ!くらいしか変化を感じられない

クリアすると得られるアイテムや敵の強さなどがグレードアップした同様のステージを遊ぶことができる。ここで問題になるのが、「ドロップアイテムの質ってなんだよ」という話になる。基本的に敵が落とすものは金とエネルギー程度であり、大型の敵が幸運値の高いときに、たまーーに回復アイテムや武器などを落とすことがあるかなーくらい。つまり、ベーシックなルールはそのままで、何周もしていくと頭打ちになる能力アップのためのお金が出やすいというメリットしかない。敵の強さも攻撃力や武器が変わるだけで、立ち回りに特に変化はない。という点から周回要素が周回のモチベーションを高めない。このあたりはかなり痛く、1周で十分という結論を出してもあながちでもないという状態。

あからさまに敵のレベルが上がってはいる、いるが…

確かに難易度が上がるし、敵との戦闘に楽しさを見出した人ならどんどん周回して難易度を上げていって限界に挑戦というのもありだろうが、やってること自体は1周目の1階からほぼ変わらないので、2週目以降ならではという感じのものは少ない。2・3階からすでにロケットランチャーを持ち出してきたりすることもあるが、その敵がいることを認識して目視すればそこまで厳しくもない。

脇道も特殊フロアも多い

このフロアが黄色い縁取りのところでは、敵の強度が増す、地雷が多く設置されている、エリアが暗いなどのプレイヤーに不利な要素がちょいちょい挟まれるが、難易度や不便さが増すだけで2週目ならではの面白さにはなっていない。難易度のメリハリという訳でもないので、本当におまけのおまけ部分でしかない。3週目に入るころには恐らくすべてのステータスが上限の100になっているだろうことも考慮すると、資金が増えてもあまり意味をなさなくなる。せめてハクスラとして能力値がランダムで上下するような武器が落ちるなどの要素があるのなら、強い敵と戦うことに意味はあるのだが…

高難易度を何回もやらないとお目にかかれないレベルのレア

4週目くらいから最高クラスの敵 (アーマー・強武器・役職付き) みたいなのが稀に回復アイテムやこういうアップグレード装置以外でもアップグレードを得られるアイテムを出すことがある。出すことがある、程度で期待値に入れるのは厳しいし、今まで解放したものからランダム(装置と同じ)で一つだけなので、その時点で有用なものが手に入る状況はおそらくほぼ0と言っていい。もうちょっとどうにかなったんじゃないかなと思う要素になってしまった。

1周で十分、となると割高

物量が最初から加減しろ莫迦

5週ほどしたところで飽きて実績解除に走って飽きてやめたが、ツインスティックシューターとしては特に可もなく不可もなくの平凡、よく言えばまとまった出来。目につくような不満点もないので、はなから操作感が合わないとかでなければクリアまで持っていくことはできるだろうと思う。

最終的には割とヤケクソの戦闘になるのは楽しい…とも言えるが

バンドル入りもしているので、値段的にはお得感はあるだろうが、上手い人だと数回のプレイでクリアまで出来てしまうと、周回してのパワーアップ、アップグレードのアンロック、様々なPerkの得意能力などを体感する前に終わってしまう。逆に言うとサクサク進められるので、サイバーパンクな雰囲気のゲームをサッと遊びたいという場合にはお勧めできるかもしれない。

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