[Gameplay]故きを温ねて新しきを知るその1(Atari Vault)

タイトル: Atari Vault
開発元: Code Mystics
パブリッシャー: Atari
リリース日: 2016年3月25日

Atariの歴史を覗こう

簡単に言うとアーケードで出ていたAtariのゲームの詰め合わせで、2600(日本では2800)で発売されたもの、またはアーケードで稼働していたものを100本ほど収録している。個人的には思い入れはないのだが、The Angry Video Game Nerdなどで取り上げられた数々のゲームが実際に遊べるので、そういう意味で興味を持ったことから実際に遊んでみようという気持ちに。

アーケードで出ていたものは超古いものからそれなりに新しい80年代のものまで。こういうレベルの古さになると見た目がショボい(現代基準)ので、何が面白いのかというのは伝わらない感じはする。ただ、挙動がフワッとしていて宇宙感も出ているし、シューティングの楽しさもしっかり詰まっているので、出た当初大ヒットを飛ばしたのも頷ける出来栄えだと思う。今の人に受けるかどうかはともかく、やってて結構シンプルなのにのめり込めるのは凄いことだと思う。

アーケードは割とデザインも凝っていて、画面外のアートワークも見栄えがいいものが多いが、Atari2600のゲーム版になると話は変わってくる。上の画面がゴルフだと認識できるプレイヤー以外の人はきっと少ない。パー3とかマジで言ってんの?怖いんですけどー。

ボールの左右からアプローチの方法が変わって、今持っているクラブ(?)を反時計回りに回してくれたらなんとかまっすぐ飛ばすことができる。上~時計回りに回し始めたら離脱して反対向きにしたほうがいいのだが、もはや言葉で説明するのが難しい。基本的に2種類のアプローチ方法で斜めかまっすぐに打っていき、10打くらいで入ったらスゴイ!くらいで考えた方がよさそうだ。ゴルフレベルですらないとは言ってはいけない。

面白い・初見・様々な感動

AVGNが割と褒めてた側に入るボクシングゲームはそれなりに面白かった。ボタンが一つしかない機種だが、後ろを入力しながらボタンでガード、前に倒しながらボタンでパンチを繰り出せるが、パンチがやたら連射性能があるので、すごい勢いでボッコボコにできる。これが結構楽しい。こういうゲームに多い隙を見てスウェーからのカウンター、みたいな駆け引きなど無用。シンプルであるがゆえの楽しさであるとも言える。

やったこと無かったのがこのWarlords。対戦ゲームなので一人でやるのもつまらないかと思っていたが、結構シビアに攻めてくるので、目標である自分以外の砦を破壊するなどとてもとても。跳ね返ってくる黄色い球自体は遅くないのだが、大きく破壊するにはボタンを押しながらキャッチしてパワーのあるショットを放つ方が効率が良い。しかしその弾すらもはじき返してくるので、リスクも伴う。こんなシンプルなゲームをコンピューターとやって白熱してるのが今の俺だ。もう一つで全壊なのに…までは行った。

もう意味が分からへんもん。何これ。ゲーム&ウオッチかな?角度を弄って人間を射出しておき、籠を移動させてしっかりキャッチするゲーム。表示されている風の速さがキモになるので、風が強いときは低めに、風が弱いときは高めに射出するのがコツ…なのかもしれない。

まあ落としたくなるよね。OUCHってその程度でいいのかよというのが昔のゲームっぽくてすごくいい。なんだかシュールで笑えるゲームは黎明期からすでにあったんだなと思わせてくれる。

全体的には二人対戦ゲームのようなものが多くあるため、すべてのゲームをみっちり遊ぶことは基本的にはできないのだろうが、軽く触っているだけで昔の興奮をイメージして思い出に浸る感じのプレイはできる。今ではもうゲームは進化しきってしまったようなところまで来ているので、シンプルなゲームというのがかえって減ってしまったと思う。インディーズによるゲームで一点突破のようなものは数多くあるだろうが、さすがにシンプル過ぎると厳しいと考えて、やりこみ要素やら収集要素を必ず入れてくる。こういうのとは違う、この時代の「クリアそのものがまずやりこみ要素」というのが正しいとか言うこともないが、制作側の都合やゲーム機自体の性能、時代背景とかそういった面で求められていたものとしての評価なら、これらのゲームはすべて高得点なのだろう。

表現としてあまり好きではないがビデオゲームクラッシュ(Atariショック)も、こういう求められていた楽しさを理解しないで作るゲームメーカーの新規参入によるものだったということから、起こるべくして起こったということだろう。作り過ぎによる在庫過多なども面白いゲームが出来ていれば、そこまでの負担にはならなかっただろうし、失敗だったと語られるほどにはならなかったはず。

面白さと古臭さは関係ないという、割と当たり前のことを肌で体験した。ただ興味がない人は体験する必要はないと思う程度でもある。レトロゲームなんてものはそんなもの、だが時代背景込みで当時に思いを馳せるのは何かの参考にはできる。

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