[Review]Forager

タイトル: Forager
開発元: HopFrog
パブリッシャー: Humble Games
シリーズ: Humble Games
リリース日: 2019年4月19日

ゆるい冒険クラフトアクション

基本的なプレイスタイルは、よくあるサバイバルクラフトと変わらない。木を伐り石を砕き、素材を集めたらかまどや鍛冶台でアイテムをクラフトする。その繰り返しで進めていくゲームだが、エリア拡大が島を買うという独自の発想で、そのために資金が非常に重要なゲームとなる。資金を集めるためにコイン鋳造や宝石を掘り当てることがゲーム中で大きな比重を占める。

道中ゼルダにインスパイアされたと言っているダンジョンがいくつか点在している。ダンジョンの謎解きは謎解きというほどのレベルではなく、ああなるほどと思わせつつダンジョン内のアイテムを有効活用できる程度に留められているので、ある意味ではプレイを停滞させないちょうどいい匙加減。

アイテム生成に比重を置いているせいか、アイテム入手の自動化が容易に行えるように設計されている。湧いてくる資源も自動で採取する方法もあるため、ずっと画面に張り付いていなくてもアイテム集めを楽しむことができる。もちろんそれでは手に入らないアイテムもあるが、商店を立てると最短10分毎に資材からレア気味な上位アイテムまでがランダムで購入できるため、完全オートにするより適度に確認するプレイスタイルが主流になるだろう。

プレイする期限もなければ、必要なノルマもないので、ゆるゆるとプレイするもよし一気にまとめてプレイするもよし。キャラもかわいいのでほのぼのとした気分を味わいながらプレイできるゲーム。

プレイの幅が狭すぎる

そもそもの話として「小さな体で大冒険」してる感じが無い。冒険というならもっと到達が難しいポイントがあるとか、洞窟の奥深くにさらにダンジョンがあるとか、そういうイメージを持つわけだが、そういう感じの地点は特にない。というよりそれに類する小規模な物すらないレベルで小さくまとまっている。何せ登場する土地のすべてがフラットな平地なのだから、なんなら犬のおさんぽのほうが大冒険している。

圧倒的コンテンツ不足

最初の島でやることとしては、次の島を買うために木を切って石を壊して、かまどで金鉱石を金の延べ棒にして、金敷で加工してコインを作り、お金をためて次の島へという流れになる。要するに基本的な流れが「金を溜めて島を買う」であり、いくらプレイヤーがレアアイテムを持っていようが、武器の強化が普通より進んでいようが、島を買うコインが溜まらなければ次のステップへは進めないという裏返しである。

異なるバイオームに進めれば、出てくる敵や花に相当する植物、バイオーム特有のいくつかのレアアイテムの入手が可能となる。ただ、敵のドロップを入手するという意味では倒すということに変わりなく、他のアイテムも同じように採取するだけである。ひとつあるオベリスクも違う部分にボーナスが得られるだけで基本動作は何ら変わらない。極論をいうとキャラチップが違うマップが4つある程度の差しかないわけだ。ダンジョンや謎解きの「銀河」が各バイオームにあるが、ダンジョンも超短く、簡単な内容なので、すんなりとクリアできてしまう人がほとんどだろう。銀河の謎解きはやることがわかっても…なことが割とあるので、ある意味手ごたえがあるとも言えるが、少々理不尽なところもある。

つまるところ、開幕の島が既にエンドコンテンツと同等の内容に近いレベルであると言えてしまう。ランダム発注クエストで金貨を稼ぐとか、自分が建てた店以外での商店でアイテムのトレードをするとかそういう基本的な要素すらないのは、誇張抜きでこういう表現をしたくなるが「正直ビビった」。同じ島をグルグルして素材を集めて、その間にクラフトをセッティングしておいたかまどからアイテムを得て、次のアイテムを作る準備をしてまた駆け抜けて、何度かやってるうちに10分たって商店の商品入れ替わりを待って…というループに永久にハマる。

エンドコンテンツと呼べそうなのはvoidという別次元に突入して、制限時間以内にそのフロアの雑魚敵を片付ければ次に進めるというよくあるパターンで、一定階層から本編ボスが大量に出てきてアイテムとり放題みたいなどこにでもあるアレである。ここの問題点としては、アイテムがアホほど出るのでアイテムの価値が薄れてくるところと、最上位アイテムを作るために必須なので、ここを進めるために攻撃力を強化する必要に駆られること。あとは表で作っているアイテムが進捗しないので、電子チップなどを作る妨げになりかねないこと。それなのにここで釣る以外行商しか売ってないクラーケンの目とかいうアイテムが存在すること。しかも結構早い段階からこの目がクラフトに要求されるので、開発の想定は中盤以前くらいにここに入れという感覚っぽい。そうなるとなおさらエンドコンテンツ感がなくなる。

本当に様々なプレイスタイルにも対応しているのか

イエスでありノーだと思う。公式で謳っているものを順にみていこう。例えば農民。野菜や花を育てて収穫したところで通常プレイの一環である。というより散水機を開発してショベルで掘って種を植えたら数分で育ち切るので農業感が全くない。植える種も単独で手に入れるのは、ランダムで店売りかその植物をクラフトで種にするだけなので賽の河原に近い。

たとえば商人。行商と商店を利用しないのは単なる縛りプレイであり、大量に手に入るものを売って入手がめんどくさいものを金で買うほど楽なことは無い。ビジネスのチャンスで溢れています!と言われてもビジネスの相手がいないし「帝国を築く」の意味が分からない。そういうロールプレイで楽しめる人なら話は別だが。

冒険家はなんかもうコメントするのも憚られるので建築家。ハードモードではスケルトンが頻繁に湧くので柵や壁をクラフトして使ってみたのだが、単なる障害物でしかなかった。というより、デフォルトでは壁と床と門しか作れないので、建築してる感0である。さらに耐久度の概念が余計であり、スケルトンの殴りやプレイヤーのつるはしの誤爆、流れ星のダメージで壊れたり、NPCが宝箱を召喚すると消滅したりする。あと拠点という表現を推してきているが死んだらその場復活、セーブもその場で落ちてるアイテムまで含めて全保存なのでどこそこを基準にみたいな感覚が薄いのもある。

ここまで言っておいてなんだが、このゲームは案外やめられなくて中毒性はあるにはある。なので非常に惜しいというか、もう一歩進めようよと製作者に言いたくなる。できることは全部やりたいし、工夫でなんとかする余地は確かにあるとはいえ、ゲーム中で要求される要素があまりにも少なすぎる。適度に縛ったり、逆に最大効率でプレイする以外の楽しみがもっとあれば、もっと楽しめたんだろうと思うと本当にもったいない。

これからプレーする人向けスポイラー

激レアアイテムに気を付けろ

1個手に入れるのに10時間くらいかかるんじゃねーかと言いたくなるのが金の卵。野生の鶏を1回Eでインタラクトすると卵を落とすのだが、超低確率で金の卵を落とすことがある。これをクエスト・展示物・クラフトで1個ずつ使うので、動物を引き寄せるアイテムや変化アイテム、何らかの手段で動物をたくさん出して取りに行かないとここだけでかなりの時間を食う。

あとは各バイオームの釣り限定の考古学アイテムが展示物で1個と、クラフトで10個ずつ使うため、できるだけたくさん各バイオームに魚用のわなをセットしておきたい。装置は作るごとに必要素材数が増えるため、ベリーを食べて回復!などはもっての外なのだ。釣りが妙にシビアな上に楽にするアイテムなんか存在しないので、クラーケンの目以外はベリーを消費して手に入れることになる。セットさえすれば時間が解決してくれる分マシだと言えるが。ただ、最序盤で化石やいかりなどを200gで売るというのもありといえばありなので、最初の緑の島の産物は売ってしまうのも一つのテクニック。

店で買え

商店は大量に建てるべし。植物やボトル詰め生物は足りなくなりがちだし、巻物や食材は素材が重くてクラフトするより割安だし、ボス召喚の紋章なんかは中盤あたりではおいそれと作れないので、買った方が効率的。ランダムで登場する行商は最上位クラフト用アイテムなども平気で売ってくれるので、▼のインジケータが出たら要チェック。

あとこのゲームで大量に必要になるうんちは店でまとめて買うか、動物のエサを買って牛に与えてみよう。アホみたいな数のうんちをばら撒くぞ。

祭壇を活用する

基本的にデメリットが無く、時間が経てばまた使えるし、複数建てることも簡単なのでクールタイムごとに使いに行くくらいの活用がお得。採掘ポイントが島全体に出るやつや、入手資材が倍になりアイテムが即インベントリに入るやつ、装置の生産速度が倍や経験値が倍など安易な強さのものが多い。特に中盤の金不足の頃の売却額2倍、ヴォイドスチールなどを生産しだしたころのクラフト速度倍などは快適さへの影響が著しいので、ぜひ活用しよう。

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