タイトル: Nomad Survival
開発元: The Fox Knocks
パブリッシャー: The Fox Knocks
リリース日: 2022年10月9日
早期アクセスリリース日: 2022年4月29日
いわゆるVampire Survivors系?
そう思わせるところは多々
外見はどう考えても略して以下VSのまんまである。敵の死にドットがちゃんと作られていたり、ビジュアル面のアドバンテージはこちらにあるが、サウンドの爽快感では間違いなくあちらが優れているので、一長一短。少なくともプレイフィールはほぼ同等なので、あちらに慣れた人なら英語のままでもプレイするのに差し支えることはないだろう。
あちらは最大6枠(最低1枠)の武器と6枠のパッシブ強化スキルを主として戦っていたが、こちらでは画面下を見てもらえればわかるように、ヤケクソな量というか、登場するすべての武器と強化スキルを一応持つことができる。もちろん武器を絞って持つことも可能だし、適当に上げすぎると武器が大幅にパワーアップする節目のレベル5・レベル10に到達させられなかったりするので、注意は必要だ。
1分毎に敵の湧く種類・量が多く変わったり、10分やそこらの節目節目で特殊イベントが発生してこちらを不利にさせてくる。これが終わった後にはボス格の敵が出てくるので、割と忠実なプレイ感はある。では、このように何から何までVSそっくりなのかというと、プレイしている体感はそうでもなかった。
そう思わないところも多々
まず目につくのがペットシステム。目新しいものではないが、性能の異なる1体を連れていくことができ、それぞれに攻撃強化系、防御強化系などのように特徴が異なるのだが、お勧めというかどう考えてもこれ一択だろと言いたくなるアライグマが強すぎる。アイテム引き寄せの能力をパッシブ強化枠を使わずに高レベルで所持できる上に、そのマップの特殊オブジェクトであるクリスタル漬けの宝箱などの破壊すべきオブジェを近くまで持ってきてくれる。ペット強化にはSoul(モンスターを倒した数)と、難易度のModifierを弄ってボス格を倒した時に手に入るGemstonesを消費する。最上位まで育てるのはかなりの周回が必要になる数字だが、アライグマは真っ先に全てつぎ込んでもいいくらいに強力だ。
話に何度か出てきた破壊できるマップ特有のイベントオブジェクトは、倒すと宝箱が出現する。これを開けることでRelicを入手できる。本家VSならレベルMAXの時にどんちきどんちき宝箱を開けることで武器が進化したり、武器や強化アイテムのレベル自体が上がっていったが、こちらは開けた時点で武器自体の性能を強化するRelicをひとつ(キャラパワーアップで最大3までの抽選あり)獲得できる。撃ちだす弾のサイズが大きくなったり、バウンドする回数が増えたり、武器の特性が変わるので、今使っている武器のものが出現したら積極的に取りたいし、取った武器を次のレベルアップから狙うなどすると有利に戦える。
最終的にバカインフレになるこのゲームだが、その理由は武器がやたら持てることと、レベルアップによって攻撃力が上がっていくことにあると思われる。出てくる敵の数やレベルアップする回数などはおそらく概ね決まっているはずなので、その時点で得られる攻撃力や武器のレベルなどは上限があることになる。そうなると適当に強化した武器だと攻撃力が足りず押しつぶされかねないため、武器の取捨選択や強化の仕方、さらにはプレイヤー自体のゴールドやジェムで出来るパワーアップが重要になってくる。
意外とシビアなレベル上げ前提バランス
突破できない?レベル上げだ
ステージ1に関しては初見でクリアできるという人も結構いるらしく、何も弄っていなければこのあたりは楽勝である。このあたりからすでに「VSとは結構違うんじゃない?」と感じられたわけだが、次のステージからその感じがさらに強くなっていく。
4分あたりから出るこの小さいのが相当に壁になり、移動速度や火力が足りずにここで詰まってしまった。1面に戻ってレベル上げ用のコインを稼ぎ、湧きに押しつぶされないような武器の育て方を学び、それでようやくこのあたりを突破できたという感じだった。明らかな壁が出てきてはそれなりにレベルを上げて再チャレンジという繰り返しになるので、爽快感抜群のVSフォロワーというにはちょっと違うかなーと感じられる。どちらかというと結構真面目なアクションRPGを遊んでいる感じだ。ただ単にシステムがVSに類似しているというだけの話。
武器の強化は効率よく丁寧に
武器の性能は取得したての1、大体何らかの特性が強化されてくる5、もう1段階強化される10を目指して効率よく上げていくことが大事。中途半端に上げると火力面や利便性でメリットが得にくいので、リロールを多用してでもこのラインに揃えよう。レベルアップで火力が上がるのもあって、ベース火力が上がる程度の恩恵を中途半端に振って受けることはない。
こうやって効率よく上げても割と厳しいので、たとえばGreat Dividerのようにレベル5で前方と後方に短剣を発射、レベル10で上下左右に発射できるような範囲攻撃を重点的に上げていきたい。前方にしか発射しないIcicle Barrageなどは利便性に欠けるが、弾を大量に出すのでレベル10で15%即死させられるDeath Stingなどと相性が良い。Colorless GlyphやEnergy WaveなどはRelicの強化でサイズが倍になるが、レベルアップごとの強化がさほどでもないので、序盤の宝箱でRelicを引いたときはコスパよく強化できる。
単独運用なのか、パッシブの強化をもとに武器を選ぶのか、Relicをもとに選ぶのかと選択肢があるわけだが、このあたりは序盤の引き次第、リロール回数の残り次第。何も考えずに進めると、強化不足で押しつぶされたり、ワンミスで死にかねないステージ内インフレバランスなので、武器などはどうしても固定になりがちではあるがちゃんと選定したほうがよい。
だいたい敵の攻撃力のせい
無敵時間が体感でほぼないので、密着されるほど移動速度に差があると速攻で死ぬ。そのため移動速度とアイテム取得範囲の強化が必須であり、アイテムを拾いに行く際に殲滅し切れるような火力も必要になる。要するに全部だ。
それから遠距離攻撃がえげつない。2・3発で半分は削られるのに何十体と出てくる敵がこちらを狙い続けるので、これが出る時間帯の致死率は相当なもの。さらにステージ2ではボスが触れると数百ダメージを与えてくるおかしな火力の無敵の影を追尾させてくる。ステージ3の時間イベントではその影が10体くらい追いかけてくる時間が数分ある。4に至っては早めにこの遠距離攻撃の敵が湧いてくるし、破壊すべきオブジェクトがビームを出してきて、その場にとどまっていると即死するスピードで削られる。これらの攻撃は全て防御力を上げたところで対抗できないので、ボーっとせずに避けるか、シールドのパッシブ強化で無効化できる時間を作るしかない。小型化するやつで回避率も上がるようだが、密着されたりビームは回避もクソも無く当たり続けるだろうと思うのでどうなんだろう。
よくできているが盛り上がりには欠ける
一見ド派手で爽快感あるあのゲームのフォロワーっぽいのに、実際やっているとそこまで頭空っぽにして時間がどんどん溶けていくようなゲーム性ではない。出来が悪いわけでもないし、3倍速モードなんかもあるので30分+アイテム選び時間で長々と時間を取られるわけでもない。キャラもたくさん選べるしいろんな特性を選べるのでバリエーションが豊富なはずなのになぜなのか。
恐らくだが、キャラ数や特性に比較してステージ数が少なすぎるのが最大の要因だと思う。4ステージしかなく、設定を弄っても雑魚敵の特性などはほぼ変わらないので、周回前提にしても見飽きるし、周回したところで強さを発揮できる場面が少ない。なので周回する意味がそもそも薄いということになる。
ステージ1は温いが報酬も少なく、ステージ2は倒すとダメージゾーンを発生させる雑魚が時間イベントで湧いてくる。ステージ3が一番鬱陶しく、この倒せない赤い影が10分ごとに2回2分ほど湧いてくるので、ここを周回するのは割とストレス。というより敵の数などを考慮するとステージ4以外そんなに遊ばなくてもよくなる。
プレイフィールが育成しっかりして進むRPG寄りなのだから、ステージを増やすとか、30分縛りルールをパクらないとかでやり方を変えたほうが持ち味を引き出せたと思う。のぺっとした感じの中盤以降があまり遊ばれていないのは実績解除率からなんとなく察せる。ステージ1を一番癖のない冒険者でクリアしている人が44%いるのに、ステージ2で15%未満、ステージ3でさらに半減している。最初から使えるリロール回数が多くなるNomad特性の冒険者でステージ4をクリアしたのは2.4%と明らかに脱落者が出ている。もちろん何を気に入るかは人それぞれだと思うが、ステージ3クリア実績が軒並み10~15%なので、「思ってたゲームと違う」感は相当あるんだろうと思われる。安いゲームに言うことでもないのだろうが。
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