タイトル: S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat
開発元: GSC Game World
パブリッシャー: GSC Game World
リリース日: 2010年2月12日
S.T.A.L.K.E.R. 3作目
S.T.A.L.K.E.R. 2が2024年11月21日に迫ってるので、何故かちょっと触って積んでたSTALKER Call of Pripyat(以下CoP)をクリアした。総評というか実感としては、「面白くなくはないんだけどこうじゃないんだよな」感で埋め尽くされた感じ。少なくともこれ単体をめっちゃお勧め、とは言わないかなあくらいに落ち着いた。よくなった点やちょっとなあな点を交えつつ評価していく。もちろんMODは一つも入れていない状態でのバニラプレイだということも追記。
感覚は維持しつつ便利に
基本的な操作方法や操作感覚、すぐ死ぬバランスや戦闘の出来の悪さはそのままなので、この3作は遊んでる感覚自体はほぼ変わらない。一つ違うのはショートカットキーで回復アイテムを使えるようにできるところ。これにより出血やダメージを即座に回復できるので、戦闘中にインベントリを開いてバンデージを使っている間に撃たれて死ぬなどという出来事はなくなる。というか回復アイテムが貴重でもなくなっているのでバンバン使えて、難易度を上げていても即死するほどの攻撃でなければなんとかなってしまう。ある意味ゲームとしては健全に。
味方が多い
そもそもZoneに入った理由が「ゾーン周辺で発生した政府軍ヘリの墜落事故を調査」なので、主人公はZoneに対する干渉をしない勢力である。従ってBanditとすら敵対していない。協力的ではないにしろ敵でないというのは大きい。SoCのように初手からBanditの村を襲撃みたいなことが起こらないし、Skadovskという名前の船が拠点になるので、平和な時間を多く取れる。
マップ内移動・マップ間移動も低コスト化し、武器防具修理もあまり高くない値段で拠点でやってくれるので、前作までの煩わしさはかなり解消された。いくつかのアノマリーでアーティファクトを拾うと物資を一通り補充できるため、ミリタリーの拠点に殴り込みをかけてアイテムを必死に拾って格安で売り払うなどの作業をしなくてもよくなった。
全体的な印象としてユーザーフレンドリーになったところが多いので、シリーズの尖った部分はだいぶおとなしくなった。いいか悪いかは別にして全体としては親切になったと言っていい。エンジンも安定しているので、特に不具合もなくラストまで進行した。
素材の味は驚くほど薄い
序盤のマップが無味無臭
ZatonとJupiterでは基本的にどの勢力とも敵対していないどころか、トレードができるくらい友好関係にできる。仮に野生のBanditとどこかの勢力が撃ち合いに発展していても、素知らぬ顔で素通りできる。漁夫の利を狙って全滅させても滅多なことでは敵対するほどに関係悪化はしない。ということは、自分から仕掛けない限りZoneの中にいる間は平和に暮らせるということ。
一部の場所ではミュータントやゾンビなどの敵が湧いてくるが、そういう場所に行かなければ銃を撃つ機会すら乏しい。もともと銃撃がメインの作りでもないとはいえ、アクセントにもならないのは物足りない。重量にも割と余裕があるのも相まって、精度のいいアサルトライフル(GP37など)とミュータント用のショットガンかラスト近辺ならガウスガンなどの狙撃銃を持つとそれで戦闘への備えは終了してしまう。敵がいないことによる武器のどうでもよさが転じて、探索する必要すらないのでは?という点に繋がってしまっているので、タスク以外をこなす楽しみがかなり無くなっているのは気になった。
ついでに言うとマップ探索もあまり意味をなさない。Stashの情報があるところはともかく、ほとんどの建物がスカスカでアイテムすら落ちていない。木箱やSoCでアイテムが入っていた白と水色みたいな箱にも何も入っていない。作りかけであきらめたツクールのような雰囲気さえある。イベントのある場所以外はもうケチらずファストトラベルでいい、となってしまっている。なので、どこに何があるという記憶すらない。完全新規マップのはずなのにあまりうまく機能しなかったという印象だ。
ストーリーの味が薄い
1作目のように「Strelokを殺せ」という導入からグイグイ引っ張っていくシナリオや、2作目のように組織ごとの抗争や勢力争いといった要素がない。ヘリ事故の調査ねと言われても、ああそうですかという感じになってしまうし、最終的に明らかになる部分もシリーズファンなら何となく予想がついてしまっていた感じで終わってしまう。ボリューム自体も少なめなので、探索やサブタスクを楽しみたいが、物足りなさは前述のとおり。
途中のタスクで信頼を得た人と共に、必要なアーマーを揃えてプリピャチに向かうシーンあたりからいろいろ盛り上がりを見せるというか、カバーしあいながらの激しめの戦闘が繰り広げられるので、このあたりから割と楽しくなった。正統FPSと言った感じで楽しめるのが後半からというのは勿体ないと思う。逆に言うと終盤のごく限られた部分が面白くてどんどん進めてしまうので、想像以上に早く終わってしまう印象にもなる。
MOD前提の高評価と名誉回復できない低評価部分
世間的にはCoPが一番評価が高くてSoC、CSという順番で人気が落ちている印象があるが、個人的にはあまり高い評価を下せなかった。ほんとに同じゲームやってる?というくらい探索が高評価だったりして困惑することも。
TrueStalkerのようなトータルコンバージョンMODや、スタンドアロンMOD(?)のSTALKER Anomalyといったフルで作り替えたようなものは正直ゲーム本編の評価に入れてはいけないと思ってはいる。ただ、世界観や雰囲気などのベースの部分の人気が無いとこういう流れは作られないと思うので、その辺は評価している。その代わり「このゲームすっげえ面白いからやってみ?」とお勧めはしないしできない。日本語化でも辞書片手でもいいからSoCをプレイしてくれと言うだろう。
あくまでゲーム単品としてみた場合、という評価がこのシリーズにふさわしいかはともかく、シナリオ面で引っ張っていく力が弱く、探索もいまいち物足りないという部分は個人的には低評価。システム的な部分が改善があっても、そこは枝葉の部分でしかない。逆に言えばSoCをこのシステム回りで遊べたら間違いなく神ゲーという話にもなるのだが、あっちはあっちで素の状態で「粗削りだけどシナリオが神ゲー」という評価を下しておいたのでそっちも変えるつもりはない。頑固ジジイである。
よく言われる不評点について
超精度のグレネードは精度がそうでもなくなった上にちゃんと見えるので致命傷を避けるのは容易。ダメージを受けたりカバーから身を曝す可能性はあるものの、そのくらいは許容しないと。あとそもそもそんなに投げてこないし人間と戦う機会があまりない。さらには向き合って撃ってる状態ではまず投げてこないので、あっグレネードだやべえとなるシチュエーションが自分はほぼ無かった。陰に隠れすぎなスタイルなら投げられまくりもあるのかもしれないが、詳細は不明。
資金繰りの難度もよくネタにされるが、実際そう思ったことはほとんどない。絶対に前作までのほうがキツイ。たまに上位アーマーや外骨格を買う時などに大金が必要になったり、武器防具の修理代もガッツリ壊れていればそれなりに要求されるが、1万くらいの資金があれば全く直せないというほどの負担にはならないと思う。エミッションのたびにアーティファクトは復活して回収も可能なので、それのためにメディキットを購入して挑んでも余裕すぎるほどに黒字になる。さらに敵対戦力とドンパチした死体から手りゅう弾や食べ物、壊れていないピストルや弾薬を拾って売るだけでも結構な額になる。特に手りゅう弾はその辺のStalkerなどに売ると1個200/400などの高額で売れるのでむしり取ってやろう。売ったあとに倒してさらに…なんて。
特定のタスクをクリアするとアイテムボックスに弾と医薬品が一定期間ごとに追加されるボーナスもあるので、その辺の死体から食料を拾い、拠点で必要な弾以外を売り払っていくだけでもノーコストで儲かってしまう。時間をかければSEVA suitsや外骨格アーマー、ユニーク武器なども買えてしまうだろうし、修理代程度ならなんなくねん出できるはず。少なくともバニラの状態でこんな印象なので、金を稼ぐという作業に入る必要はない気はする。ただ、自分はベテラン難易度でやっていて数発撃たれると即死亡のバランスなので、ギリギリ生き延びた場合でも損傷はわずか。低難易度の場合は10発とか耐えられて耐久力がどんどん下がって結果的に辛いのかもしれない。その辺は調べてないのでよくわからない。
なんかこうやってみると「いい点はそれ本当にいい点?」「欠点は誤解じゃない?」みたいなフワフワ評価ゲームってことになりそう。2がどうなるかは知らないが、SoC(1作目)寄りのシナリオ重視なら僕は嬉しい。
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