[Review]F.E.A.R.: Extraction Point

タイトル: F.E.A.R.: Extraction Point
開発元: TimeGate Studios, Inc.
パブリッシャー: Warner Bros. Interactive Entertainment  (Sierra Entertainment)
リリース日: 2006年10月

戦闘がより楽しく、恐怖がより陳腐に

一言で言うと表題に尽きる。ロケーションがどこぞのビルやオフィスで埋め尽くされていた前作と違い、教会や地下鉄に病院と何とかして変化させようと努力し、それが実ったと言える。やっていること自体は前作と同じだが、またこういうオフィスですかと食傷気味にならずにすむのは大きな進歩。最初から激しめの戦闘が始まるので、徐々に難しくなっている1作目と違って、あくまで拡張パックであることを感じさせるが、序盤はダレポイントになりがちなのでこの方が良い。ただ激しいと言っても慣れているので難しいわけではなく、基本的な敵の種類と動きは変わらないので、初っ端から飽きているというのは否定しない。

そこで登場するのがこのガトリングガンと盾を持ったヘビーアーマー。向かい合って撃ち合うとハチの巣になるので、うまくを身を隠したり地雷を効果的に使ったりという戦略が求められるし、武器の貫通力なども把握しておくとより闘いやすくなるなど、どの武器を持ち歩くかを考えることも重要になる。ガトリングは倒すと拾って使用できるほか、レーザー銃などの新武器が登場しているが数は少なめなので、たまに使えるとちょっと嬉しくなる程度で留まっている。置いてある武器は比較的火力が高めな傾向にあるので、ショットガンやピストルなどはほぼ使うことが無く、アサルトライフル固定で他にランチャーやスコープ付きライフルを持つような状況がほとんど。これと Slow-mo を組み合わせると難易度Highでも完封が容易だったりするので、ほどほどに突っ込まないとゲームとしての楽しさは見出しにくいかもしれない。

デカブツとの戦闘もあるが、その前にはおあつらえ向きにロケットランチャーが常備してあるので、あまり戦略性は無くてつまらないとも言える。何より AI が活かされないのでその辺の凡ゲーと変わらない。実際問題これのグレードの低いロボットも同じ攻撃と同じ動きで、耐久力が違うくらいの差しかない。戦闘回数が少ないので特に文句を言う点でも褒める点でもないのが救いか。グレネード類が余るほどあるので、これもボス戦のつまらなさにつながってしまう。

と、せっかく戦闘部分が楽しくなったというか、楽しめるようなシチュエーションがたくさん出てきたのに、ホラー要素は前作よりも単純になってしまった。通れないガラス戸の向こうにアルマが見えるとか、長い通路の途中で通信がビリビリ入ってポルターガイスト現象が起こったり、曲がり角を曲がったら天井からパラパラと何かが落ちてくるとかそういうものばかり。梯子を降りようとしたらなんか居た、とかそういう意表を突くようなホラー描写はほぼないと言っていい。

こういう単調な演出が決して悪いとは言わないが、基本的にワンパターンなので、中盤に差し掛かるあたりから長い通路を見かけるたびにげんなりする。そして予想通りホラー演出が起こってしまうので、本当に戦闘以外がどうでも良くなる。細かいことだがフラッシュライトが無いと暗くて見えないのにライトの持続時間が短めで、なおかつ切ると高速で回復する。ホラー演出時にはライトが使えないので、もう持続時間無限でいいじゃねえかと思う。

不具合は目につく

といっても「ゲーム中に起こるフラグ管理ミス」などではなく、「マップ読み込み時にエラーが出る」系統のバグがちょいちょい出て困った。前回は日本語化に起因したが、今回は違うようである。

シングルプレイなのに Disconnected from Server

2カ所で遭遇。interval 間のマップを読み込み終えたところで発生する。内部的には「処理が遅い迷惑プレイヤーなのでキック」扱いらしく、設定をできるだけ下げて fps を確保してやると解決するらしい、というか解決した。最高設定でも 200~400fps 出るスペックでもダメなので何がだめで弾かれてんだというか、よくそんなところでバグったなと感心さえする。

単純に読み込み時に落ちる

1か所で遭遇したのみ。この「Press any key to continue」表示が出るか出ないかが既にドキドキのホラーイベントになってしまっているのが悲しい。設定を落とすだけではダメだったので、管理者として実行や互換モードで7以前を選んで複数組み合わせていたら何とか読み込んでくれたので、それ以降は再発しないよう祈りながら設定を戻して、その読み込み箇所をスルーして続行できた。Intervalごとに何をやらかしてくれるかが違うので、こまめなセーブが本当に重要になる。そんなに長くないゲームなのでこういう細切れ感を無くして欲しかったのだが、今更パッチなども当たらないので、だましだまし対応していくしかない。

シューターとしてはお勧め

元々 AI が賢くて銃撃も楽しく、新武器追加にロケーションも豊富とあって、面白くないはずはない。広いところでの戦闘はあまり AI の賢さが活かされないのでマイナスではあるが、理不尽な戦闘になるくらいなら遠距離攻撃でこちらが有利なくらいでいい。ホラー感が無い代わりにびっくり系が増えており、ぞくぞくするような恐怖感が無く、「あっ来るな」と予測もできるので、ある意味ホラーが苦手な人でも安心。セットで3作5ドルのバンドルが Fanatical で常時売られているので、やってない人はまず試してみようというコスパなのは間違いない。細かな部分には不満はあるものの、全体として今遊んでも名作なのは言うまでもない。

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